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蓮沼浩のコラム
第765話:和牛の新しいコンセプト その5

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2024年2月6日

小生は何故「和牛の新しいコンセプト」などというものに興味をもっているのか?

それは、世界をマーケットとして和牛のお肉を売っていくということがこれからの日本の牛肉生産にとって非常に重要なポイントになってくることが間違いないからです。

このような考え方は何年も前から言われており、輸出拡大に向けて多くの先人たちがコツコツと取り組んでくださっています。今後この流れをさらに加速していくために、イスラム圏への出荷ができる体制の構築などさまざまなことが急ピッチで進められています。本当にありがたいことです。心から感謝いたします。

なかなか生産現場は厳しいところがありますが、世界へ広がる和牛のお肉は必ずプラスに作用すると確信しております。

もう一点重要なポイントとして世界のWagyuの市場が拡大してきていることがあげられます。このWagyuで一番有名なのは何といってもオーストラリアです。豪州Wagyuといって、今一番世界に売っているのではないでしょうか。豪州和牛は100%和牛の遺伝子であるフルブラッドWagyu以外にも50%以上和牛遺伝子が入っているいわゆるF1もクロスブレッドWagyuとして作られています。F2、F3、F4まであり、F4などは90%以上和牛の遺伝子が入っています。小生が凄いと感じるのは、オーストラリアの豪州Wagyu協会(AWA:Australian Wagyu Association)が世界戦略を持って改良や販売促進を着実に進めていることになります。バリバリPDCAサイクルを回していると思います。今は情報化社会であり、技術革新もすさまじいものがあります。品質の差は思っている以上に早く縮まると思います。なかなかに強敵ですが、実はオーストラリアが世界にWagyuを販売してくれることで、和牛の認知度を世界に広めてくださっています。多くの識者が和牛とWagyuは共存共栄できると話しています。今後の展開には大いに注目です。

世界を見渡せば、これから強敵は続々と登場してくると思います。ワイン業界でもフランスだけでなく、イタリア、チリ、オーストラリア、アメリカなど非常においしいワインを作る産地がふえています。しかし、やはり本場はフランスになるのではないでしょうか(小生はワインに関してはまったくわかりませんが、そのように聞いたことがあります)。和牛の本場はもちろん日本になります。

なかなか世知辛い世の中ですが、これから日本の和牛がどんどん世界に認知され、みんなで仲良く和牛のお肉を食べていただき、多くの方に「和」の気持ちを持ってもらえるようになればいいなあなどと考えていると、日々の仕事にも張りがでてきます。
 
 
 
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