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加地永理奈のコラム
子牛にはビタミンEとセレン

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2024年1月31日

子牛が生まれた時、疾病予防のために鉄剤やビタミン剤の注射をルーティンにしている農家さんもいらっしゃるかと思います。
今回、出生後の子牛にビタミンE製剤の投与をマニュアルにしていた農家さんとお話をし、ビタミンEとセレンの合剤への変更をご提案しました。

ビタミンEとセレンは関連性が高く、どちらも体内で抗酸化作用や免疫強化作用を担っています。
それらが子牛で欠乏すると、活性酸素が増加し、筋線維が壊され、虚弱、起立不能といった症状が出ます。白筋症と呼ばれる病気です。
ビタミンEやセレンは、本来は母乳からもらいますが、母牛が足りていないと子牛にもいかないので、出生後の子牛に注射で予防的に補給します。

ちなみに牛の母乳には鉄分がほとんど含まれていないので、出生後の子牛には鉄剤もよく予防的に打ちますね。生理的貧血の予防になります。

今回の農場では、出生後の子牛への予防的な注射がルーティン化されているところだったので、ビタミンEのみの補給から、ビタミンEとセレンの合剤に切り替えてみていただくことにしました。
これで出生後に弱く立てない子牛が減ってくれたらと思います。

また、ここでは分娩が遅れている母牛にもビタミンEを投与しているとのことでしたが、こちらの処置は胎盤停滞予防の目的や、母牛がストレスでビタミンEを消耗していることを考慮したものだと考え、変更せずそのままで良いとお伝えしました。
 
 
 
今週の動画
ビタミンA欠乏症

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