2024年1月26日 今年も出水市の風物詩であるツルがここ阿久根にも来ています。環境の変化などの影響なのでしょうか?皆さん、いかがお過ごしでしょうか? シェパードでは、感染症の白血病と以前呼ばれていた牛伝染性リンパ腫やヨーネ病、牛ウイルス下痢症などの検査を実施することがあります。今回のコラムでは、それらの感染症のコントロールを行う際に重要な検査である「ELISA」についてお話します。 「ELISA」とは、Enzyme-linked immune-sorbent assayの頭文字をとっていて、「エライザ」と読みます。ELISAは、検査したい試料の中に含まれる目的の抗原や抗体を特異抗体あるいは抗原で補足し、酵素反応を利用して検出・定量する検査法です。抗原とは、病気を引き起こす原因のことで、抗体とは抗原を攻撃するために免疫細胞が産生するタンパク質です。初乳に含まれる「移行抗体」という単語で聞き覚えのある方もいらっしゃるでしょうか。 動物の体内に病原体が侵入し感染が成立すると、身体を守るために「免疫」が働きます。侵入してきた病原体に対する最初の免疫応答は「自然免疫」と言われ、どんな病原体に対しても同じように攻撃します。続いて、病原体に対して特異的に働く「獲得免疫」が誘導され、獲得免疫の主役を担うのが抗体です。抗体は特定の抗原に結合し、「これが病原体だよ!攻撃して!」という目印となります。この目印を頼りに、様々な細胞が病原体を攻撃するのです。獲得免疫は、病原体に対して特異的に反応できさらに記憶することもできるため効果的に病原体を排除できる仕組みですが、自然免疫に比べると応答が誘導されるまでに時間がかかります。 シェパードでは、主に血液中に存在する「抗体」を調べるためにELISA法を利用しています。この検査では、血液中に抗体が一定以上存在するか、ということを調べます。 今回のコラムではELISAの原理と結果の解釈についてお話ししました。次回は別の検査法であるPCRについてお話ししたいと思います。 |