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戸田克樹のコラム
第424話「久しぶりの尿石①」

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2024年1月25日

 数年前は年に何回も尿結石による排尿障害や膀胱破裂の症例に出会い、そのたびに尿道瘻形成術を実施することが多かったです。ここ最近は年に1回あるかないかのレベルになっていましたが、久しぶりに尿閉が発生しました。
 初診時は蹴腹と持続挙尾で発見。どちらも「排尿したいけどうまくできないのよ!」という牛からのサインが出ていました(脂肪壊死症や腸捻転による疝痛などでもこうした動作は確認されますので、こうした動作だけで尿石症と確定はできません)。膀胱はやや張っていたものの、陰毛は濡れており結石はわずかについているレベル。尿閉まではいっていないのでは・・・。判断が難しいところです。その日は血液検査と鎮痛剤、尿結石溶解剤の経口投与のみで様子を見ることにしました。

 翌日の血液検査で腎数値は正常範囲内。畜主からも「今日は調子よさそう」との連絡がありました。尿路系の問題じゃなかったのかな~と思いながら農場に到着。ところが、持続挙尾はやっぱりある!蹴腹もやっぱりある!!陰毛が今日は乾いている!!!そして・・・膀胱がパンパンに張っているではありませんか!!!!!!!!!!!

 というこうとで、オペを実施しなければいずれ膀胱破裂が起こることが確定となりました。畜主への報告を行い、オペの許可を得て、急遽、久しぶりの尿道瘻形成術を開始することが決まりました。

つづく


 
 
 
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