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松本大策のコラム
光線過敏症の牛さん

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2024年1月6日

 みなさんは、光線過敏症って聞いたことがありますか?
 先日、ホルスタインの農場でおかしな牛がいるという凛告で診に行ったのですが、初めて診た時は「げ、なんか気持ち悪い…」と鳥肌が立つ感じでした。
 毛の抜けているところが発赤して、それが全身に並んでる状況が、蓮コラ動画のような集合体恐怖症を引き起こすような模様に見えたのです。

 全身にこの変な模様があるのですが、毛の色が黒いところにはありません。実はこれが牛さんの光線過敏症の特徴のひとつです。光線過敏症というのは、文字通り直射日光などの光の刺激で皮膚が炎症を起こして赤くなったり毛が抜けたりします。
 毛の黒いところ(皮膚も黒い)は、メラニン色素のおかげで光の刺激を受けにくいのでしょうね。

 光線過敏症の原因は、いくつかありますが、①ソバ、オトギリソウなど光力学的物質を含有する飼料の摂取、②フェノチアジンなどの薬物の投与、③ポルフィリン代謝の先天的な異常による異常色素の生合成による光線過敏症、④重度の肝機能障害、胆管閉塞、⑤原因がはっきりしないもの、に分類できます。
 今回の牛さんは、①②④は否定できましたが、先天的異常については究明できませんでした。

 光線過敏症の治療は、症状に対して抗ヒスタミン剤やステロイド剤で対処療法を行います。原因が①や②等の物質の取り込みによる場合は、それらが排泄されるまで症状を抑えればよいのですが、③の先天性のものでしたら生涯付き合わなくてはなりません。④の肝炎あるいは肝炎の後遺症の場合、対処療法と併せてしっかり肝炎を治すことをめざす必要があります。
 
 
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