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橋本匠護のコラム
プレゼントは嬉しいけど、病原体は嬉しくない(踏込消毒の話)

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2023年12月25日

メリークリスマス!昨晩はサンタクロースが家々を訪問し、プレゼントを配っていたことでしょう。訪問(往診)して仕事をするという点では、産業動物獣医師のスタイルと似ていますよね。

往診をする獣医師は、農場から農場へ病原体を運ぶリスクがあります。リスクを下げる方法はいくつかあると思いますが、その1つとして踏込消毒槽が有効です!そこで今回は踏込消毒についてのコラムです。まずは、以下の写真をご覧ください~。


パターン1.消毒薬のみ


パターン2.水洗+消毒薬


パターン3.消毒薬A+消毒薬B(石灰)

まずパターン1は、消毒薬のみのパターンです。消毒薬は有機物(泥など)の混入や紫外線により効果が減弱しますので、こまめな交換が必要になります。

パターン2では、水洗後に消毒するシステムになります。このシステムでは上記の有機物混入による消毒効果の減弱を防ぐことが出来ます。

最後にパターン3ですが、パターン2の水の代わりに消毒薬で有機物を洗った?後、石灰で消毒する形になっています。水ではなく消毒薬を使っている分、パターン2より良さそうに見えます。しかし、今回はそうではありませんでした・・・。なぜでしょうか??

写真の消毒薬は、pHに関して以下のような特徴を持っています。

■ 消毒薬Aはハロゲン系消毒薬で、アルカリ側で効果が落ちる
■ 石灰は強アルカリとなることで消毒作用を発揮する。

つまり消毒薬A(ハロゲン系)と石灰は相性が悪く、併用NGだったのです・・・。

今回は併用することで効果が落ちてしまうパターンでした。そのため基本的には水洗+消毒薬の単体使用で良いと思います。一方で、併用OKの消毒薬も存在します。もし消毒薬を併用されている場合は、一度特徴を確認されてみてはいかがでしょうか??
 
 
 
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