(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第420話「子牛が乳首を吸ってくれない!②」

コラム一覧に戻る

2023年12月21日

生後1か月齢の子牛を母子分離してハッチに移動させたのにミルクを飲まない!平熱だし下痢もしていないのに・・・なぜ???

そんな質問が寄せられましたが、今回のケースの原因はずばり「子牛が乳首を嫌っている」からでした。どんな生き物でも、赤ちゃんのうちは安全なものしか口にしないように遺伝的にプログラムされています。今まで吸っていた母牛の乳首と違う硬さの乳首を「異物」と認識してしまい、そこからミルクが出てくることを教えても思うように吸ってはくれないのです。生後間もない時期であれば、ほとんど問題なく乳首に慣れて勢いよく吸引してくれるのですが、生後2週間程度を過ぎると母牛の乳首とボトルの乳首の違いを明瞭に感じ取ってしまうようで「吸わない」「嫌がる」というような状況が発生します。
ミルクを飲めないといずれ栄養失調に陥り、ひどい場合は生命の危機にもつながります。ミルクを飲まないのなら餌を食べさせればいいのでは?と思うところですが、生後間もない時期はスターターの採食量も非常に少なく、吸収できる栄養量は固形の餌よりも圧倒的にミルクの方が多いため、一般に哺乳期とされる期間においてはミルクをしっかりと飲んでほしいものです。
では、このケースでどのように対応したほうがよいのか・・・それについては次回お伝えします!

つづく
 
 
 
今週の動画
放線菌症

|