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蓮沼浩のコラム
第759話:22年生産費

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2023年12月19日

先日農家さんから、「蓮沼先生これ見てよ」といわれて12月9日の日本農業新聞の記事を渡されました。

そこには2022年の畜産物の生産費がのっていました。

一番驚いたのは、肉用子牛の1頭あたりの全算入生産費。
前年と比べて14.1%増加の81万2545円なり。

正直、ここまでコストが上がっているとは思いもよりませんでした。
平均の販売価格は63万891円なり。
販売価格が2021年は71万8350円だったので12.1%低下しています。

差し引き1頭あたり18万1654円の赤字なり。

2023年は2022年よりもさらに生産費は上がっているものと思われます。
平均の子牛価格もおそらく下がっているでしょう。

当然、ものすごく厳しい・・・

【 保証基準価格 】
肉用子牛の生産条件や需給事情等を考慮し、肉用子牛の再生産を確保することを旨として定められる価格。

56万4000円(令和6年度)

2022年は物財費で53万5019円なり。
費用の中で43%を占める飼料費が2021年と比べて4万7255円(17.4%)も上がっており、31万9557円なり。2023年はここがさらに上がっているでしょう。唯一、獣医師料および医薬品費が4.1%下がっています。

とてもじゃないけど、この保証基準価格では肉用子牛の再生産を確保することは難しいと思います。

【 合理化目標価格 】
輸入牛肉に対抗し得る肉用牛生産の確立を図るため、繁殖農家・肥育農家の生産の合理化によりその実現が必要な目標価格

44万4000円(令和6年度)

この数値は将来の目標と考えていいとおもうのですが、物財費だけですでに9万1019円目標価格を超えています。当分達成は無理です。というか、達成出来るんじゃろかい?

では、去勢若齢肥育牛の生産費はどうだろうか?

140万9641円
販売価格は133万5812円

差し引き1頭あたり7万3829円の赤字なり。

こちらも非常に厳しい数字がでています。

肥育農家さんにとっては、子牛価格は安いほうがもちろんありがたいです。
本当に色々と難しい問題が多く、途方にくれます。
 
 
 
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