(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第276話: タ、タマが残っとる・・・・(その10)

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2012年5月10日

さて、数日してTさんから連絡がはいりました。

Tさん「おいハス、先方から連絡があって手術してくいやんゆうとったど。」
ハス「あ、そうっすか。じゃ、今日手術しましょうかね。」

(手術の時は必ず証拠写真が必要だからデジカメを忘れないようにしないと。そうだ、手術した時に精巣が死んでいる場合もあるからその時のこともしっかりと説明しておかなければいけなかったな。)

Tさん「よう、しっかりたのっでな。」
ハス「了~解です。その前に耳標や外貌の特徴など写真に撮りますね。あと、このケースではほぼ精巣が生きていることは間違いないと思いますがもしも中の精巣が死んでいた場合はうまく去勢できていたと判断しますので、そこん所はよろしくです。」
Tさん「おう、わかった。とにかく気になるから取っちまってくれ。」

ハス獣医師、もそもそと去勢開始

ハス「あ、やっぱり残っていましたね~。精巣も生きていますよ。カメラでしっかりと写しておいてくださいね。あとは精巣をしっかりと取りのぞいておきますね~。」

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(精巣が生きている場合は意外と普段の去勢と同じで癒着などもあまりなく結構スムーズにできるけど、精巣が死んでいる場合は周りがガチガチに癒着していて取り出すのに苦労するんだよな~。)

無事去勢終了

ハス「無事摘出することができてよかったよかった。診断書と写真はすぐに作って送りますから先方とTさんがあとは話してくださいね。それと一応摘出した精巣は証拠として念のため交渉が終了するまで冷蔵庫で保存しておいてください。」
Tさん「おうわかったが。」

と、このように話は進んでいくのですが一つ重要なポイントがあります。それは精巣が生きているのか死んでいるのかわからない状態で手術をするのかということです。肥育が少し進んでいる場合はあまりストレスをかけたくありません。やはり確実に精巣が生きているとわかってから手術に踏み込みたい場合もあります。また、外貌の特徴が雄のようになってきて陰睾が疑われる例もごくまれにですがあります。そのような時はどうすればよいのか?次回はその点についてお話ししますね。

(つづく)

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