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蓮沼浩のコラム
第275話: タ、タマが残っとる・・・・(その9)

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2012年4月26日

 今回から去勢が上手くできているかの判断をどのようにしているか、具体的に紹介してみようと思います。登場人物は獣医師のハスさんと肥育農家のTさんです。

 Tさん「おいハス、この導入した子牛のタマ残っとらんけ?妙にふとかど。」
 ハス「え、そうっすか。確かに角も少し大きいし、陰毛も結構長いですしね。どれどれよく調べてみましょう。」

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(陰嚢の上にバルザックで挟んだ痕があるぞ、非観血去勢か。ちょっと注意だな。それに右の陰嚢が少し大きく膨らんでいる。バランスが悪いな・・・・。)

 Tさん「どげんよ。」
 ハス「見た感じ、右の陰嚢が下がって少し大きいですね。わかりました、触診してみます。」

(う~ん、やはり右に親指大の精巣と思われるものが残っているぞ。おまけに形が真ん中で少しくびれていて弾力もある。これは挟むときにタマの一部を挟んでしまっているな。左の精巣は触診できないのでしっかりと去勢されているな。)

 Tさん「どげんな?」
 ハス「やっぱりなんか残っているみたいですね。このケースは精巣が生きている可能性が高いですよ。」

(精巣が死んでいる場合は形が意外と丸くきれいで触った感じ結構固いんだけど、精巣の形が少し歪で弾力がある場合は生きている可能性が高いんだよな~。)

 Tさん「一応先方に去勢の時どげん状況じゃったか確認してみっで。」
 ハス「わかりました。先方に確認してみてから手術してみましょうかね。また何かわかったら連絡してくださいね~。」

(つづく)

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