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蓮沼浩のコラム
第274話: タ、タマが残っとる・・・・(その8)

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2012年4月19日

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 バルザックでの去勢が上手くっているかの判定はかなり難しいものがあります。大抵の場合親指ほどの大きさの精巣が残っています。そしてこの残っている精巣がはたして生存しており、テストステロンを作っているのかどうかを判断するのが重要なポイントになってきます。やっかいなことに時々残っていてもしっかり去勢されており、精巣が死んでいる場合があるのです。
 基本的にはバルザック去勢は生後3カ月から4カ月ほどで行うことが多いのでないでしょうか。そして3カ月もすればほとんど触診できなくなるのが普通です。このことから肥育農場にいる素牛に親指大以上の精巣と思われるものが残っていることは何かあったと考えられます。うまく去勢ができていないということだけではなく、たとえばバルザック去勢をする時期がかなり遅くなっていたことなども考えられます。小生の今までの経験では両方の精巣が残っているということは結構まれであり、たいていの場合片側の精巣が残っており、もう一方はうまく去勢できている確率が高いような気がします。次回は小生が精巣の残っていると思われる牛さんを確認した時にどのような考えで診断していくかを具体的に述べてみようと思います。

(つづく)

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