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松本大策のコラム
冬場の注意 2

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2023年12月2日

 さて、前回は気温の低下に伴う栄養的なことをお話ししましたが、今回は子牛の肺炎と腸炎の予防や治療についてお話ししますね。

 肺炎も腸炎も予防に大切なのは「免疫」です。免疫をつけるためにワクチンを打ったりもするんですね。しかし、冬場の免疫低下を頭に入れておかなければ、ワクチンの効果も無駄になってしまいます。
 免疫というと胸腺を思い浮かべる方も多いと思います。勉強なさってますね。しかし、胸腺の最大発達は生後10ヶ月齢くらいです。生まれたときに胸腺の大きさを確認するのは、妊娠末期2ヶ月くらいのお母さん牛の栄養やストレス管理を図っているんです。それでは子牛の免疫の中心はどこか?というと、小腸に存在する「腸管免疫機構(GALT)」というところなのです。そして、ここを活性化させるためにはよい腸内細菌叢を作ってあげること。このためにも良質の生菌剤などは効果的なのです。
 そして、腸管免疫機構の活性を落とし、免疫を低下させるのが、冬場にお腹を冷やすこと、なのです。お腹の温度が1℃冷えると免疫が8%低下するということです(出典が解らなくなりました😢。入院後に浦島太郎みたいに資料の場所や記憶が取り戻せないところがあります)。

 お腹を冷やさないためには、飼料袋をお腹から巻き付けて背中側をガムテープで留めてあげるとよいです。雄の場合は、おちんちんのところに丸く穴を空けてあげましょうね。
 カーフジャケットはとても保温性がよいのですが、お腹がすっぽんぽんのものが多いので、飼料袋を補助的に使うのもありです。
 敷料もこまめに交換して地面から冷えないようにしてあげましょうね。

つづく

 今週のビデオもコラムと関係ありませんが、便利なとっくり結びの結び方です。

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