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松本大策のコラム
「牛白血病のお話し」

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2008年2月18日


 昔、山口百恵さん主演の「赤いシリーズ」というドラマの主人公が白血病で涙を誘っていたのを覚えています(歳をとったもんだなあ)。人の白血病には、放射線被曝などで起こるものや、ウイルスが原因で起こるものなどがあります。
 じつは牛さんにも白血病があります。牛さんの白血病にも、ウイルス性のものと別の原因で起こるものがありますが、今回はウイルスによって伝染るタイプの牛白血病についてお話しをしたいと思います。
 牛白血病は牛白血病ウイルスというウイルスによって伝染る伝染病ですが、人間には感染しません(←ここ重要!最近の消費者は敏感ですからね)。ウイルスが牛さんから牛さんへと伝染する経路は「血液感染」というタイプで、昔のように同じ注射器でたくさんの牛さんに注射すると、白血病の牛さんからウイルスを他の牛さんに伝染す可能性が高いのです。他にも直腸検査の手袋を使い回したりすると伝染す可能性があります。
 他にはアブが吸血する際に、白血病の牛さんから他の牛さんに伝染す事があります。とは言ってもこの場合、白血病の牛さんの血を吸ったあと、アブのクチバシが血でぬれている間に他の牛さんの血を吸わないと伝染らないと言われていますから、牛さん同士の距離が5m以内の時が危険だと言われているのです。また、お母さん牛が白血病だった場合、分娩の際に伝染る可能性がありますが、確率は低いといわれています。また、種雄牛が白血病だったとしても、精液からの感染はないと言われています。
(つづく)
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