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松本大策のコラム
「肉質があがらなかった牛舎、こんなケースその2」

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2008年2月4日


 じつは飼料の上に屋根の桟に付いた結露がポタポタと滴になって垂れていたのです。他の牛舎を見て回ると、他の牛舎の桟は木材だったのに、この牛舎だけ桟が亜鉛引きの鋼材だったのです。ですから他の牛舎では結露が落ちなかったのに、この牛舎だけ結露が飼槽の中に垂れていたわけです。もしかしたら亜鉛引きの鋼材だったので無機亜鉛を含んだ滴だったのかも知れません(いま思えば、ちゃんと滴の分析までするべきでした)。ドン八ヶ岳などに含まれる有機亜鉛は牛さんも好きですが、無機の亜鉛は牛さんは嫌いですし、多量に与えると嘔吐(第4胃嘔吐といって、表からは見えません)することもあると言われています。
 この牧場の場長がすばらしい方で、すぐに牛舎の桟の下に雨樋を取り付けて滴が飼槽の外に流れるようにして下さいました。それから(もちろんすぐにではありませんが)その牛舎の牛も肉質・肉量ともに他の牛舎とまったく変わらなくなったのです。
 こういうまれなケースの他に、堆肥舎からのガスが流れてくるために食欲が上がらない、というケースもよく見かけます。現場の問題は、やはり現場をよく観察しなければならない、と感じた事例でした。
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