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蓮沼浩のコラム
第755話:2023年度農林関係補正予算

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2023年11月21日

繁殖農家さんと話しているととにかく厳しい話が多いです。

農家さん「先生、子牛が生まれたら即赤字決定じゃ!」
ハス「・・・・・・・」

そのような中、先日2023年度農林関係補正予算が承認されました。どのように国が現在の状況を考えており、今後どのようにしていこうと考えているのか。

総合農林政策調査会会長の和牛に関するところの発言を簡単にまとめてみますと・・・

・ 肉用牛の増頭奨励事業により、和牛子牛の供給能力は大変上がってきている。
・ 牛肉需要はなかなか国内需要が伸びず、海外輸出も芳しくない。

ゆえに

・ 増頭奨励については一旦停止。
・ 分母となるめす牛の頭数は増やさない。
・ マルキンと消費拡大事業を合わせて枝肉相場を回復させたうえで子牛の市況回復を目指す。

超簡単に一言でいえば・・・

「需給バランスの不一致」

子牛の供給過剰という話になっています。

和牛肉需要拡大緊急対策事業として50億円の補正予算が計上されています。物価高騰に伴い需要が減退しています。まずは消費拡大が最重要項目となります。

「和牛など輸出のための高度な衛生管理施設整備等による輸出産地の形成」
「食肉流通構造高度化・輸出拡大事業」

などの予算もついています。

新規需要開拓、消費拡大、インバウンド需要の喚起などなど、とにかく牛肉の出口戦略が超重要になります。今日本には多くの技能実習生の方々がきています。このような方々にも是非日本の文化や和牛のファンになってもらいたいですね。

とは言っても・・・

効果が出てくるのはまだまだ先のような・・・

令和5年は177万頭。
令和12年は243万頭にする目標。

毎年4%増頭しなければ間に合わない目標でした・・・。

一応、国としては高齢牛の更新を推奨しています。
小生としては、それに加えて少しでも子牛価格を上げるために高齢牛や血統があまりよくない繁殖母牛に対して、受精卵移植を積極的に実施していくこともひとつの手ではないかと考えています。
 
 
 
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