2023年11月11日 今回は、ずいぶん手こずった牛さんの症例のお話です。 僕が治療に向かうと、お母さん牛は怖がって折れた脚で逃げようとしたため、脱臼した中手骨の関節が関節を包んでいる関節包も破って、皮膚まで破って傷口がノコクズや糞で著しく汚染していました。 お母さん牛が怖がって暴れないように鎮静をかけ、寝かせてから一生懸命汚染した患部をきれいにして、足首にロープをかけて4人で引っ張ってもらいながら元の関節面に整復しました。 関節包はどうするの?と聞かれますが、関節包は驚くほど回復力が強く、そのままでも感染がなければ修復してくれるんです。 とても汚染がひどかったので、抗生物質を関節内部に注入し抗生物質を塗ったガーゼを当ててから、プラスチックギプスを巻いた後、サンダーで傷口に部分に窓を開けて消毒できるようにしてから、窓を塞がないように石膏ギプスで固定しました。 麻酔が覚めてから恐る恐る立たせてみましたが、なんとか体重を支えることができました。でもここからが勝負です。毎日ギプスの窓から消毒し抗生物質を注入してもらいながら、抗生物質の全身投与を行いました(化膿菌に強いβラクタム系というものを選択し、1日2回ずつ投与しました)。 この後もしっかり経過を見ていきたかったのですが、前のコラムでもお話ししたように自分自身が4ヶ月も入院してしまい畜主さんに治療をお任せしっぱなしでした。恐る恐る退院後に見に行くと…。 |