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藤﨑ひな子のコラム
繁殖データ⑪~発情発見率向上④~

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2023年11月10日

 いよいよ11月に入りました。2023年も残るところ2カ月。あと2カ月でできることは何だろうと思いつつ、日々バタバタとしていたらあっという間に今年が終わってしまいそうです。皆さんいかがお過ごしでしょうか?

 今回のコラムでは記録についてお話ししようと思います。この記録こそが、発情発見に限らず、繁殖全般に重要なものだと私は考えます。
 牛舎入口の黒板やカレンダーなどにウシごとの情報を記入したり、ノートに記録したりと、繁殖記録の方法は農家さんによって様々な方法があると思います。今回私がお伝えしたい繁殖記録の重要なポイントは、①明確②保存③共有です。以下、それぞれについて説明します。

① 明確:必要な項目が、誰が読んでもわかるように記入されていることが重要です。例えば、記録者によって記録方法が違ったり、時系列が整理されていなかったりすると、パッと見たときに混乱してしまいますよね。農場に関わるメンバー全員が、同じ方法で明確に記録することがポイントです。

② 保存:ウシ毎に繁殖記録を保存し、遡って確認できることが重要です。例えば、分娩に備えて、前回の出産状況や出生仔牛の生存、胎盤の有無などがどうだったのかを確認したいときはありませんか?牛舎入口の黒板やカレンダーに記録している農家さんもいらっしゃると思いますが、情報を更新するときにそのデータを消したり捨てたりしてしまうと情報を遡れなくなってしまいます。繁殖記録としてウシ毎に長期間保存しておくことで、ウシ毎の特性によって管理に気を付けることができます。

③ 共有:繁殖記録は、農場の1人が把握しておけばいいというものではありません。24時間その人が農場にいるとは限りませんよね。他に働くメンバーが気づいたことを記録すること、農場内で繁殖記録を通してウシの状態を共有すること、授精師や獣医師が必要に際して確認できることが重要です。情報の共有のためにも、前述した①誰が読んでもわかるように明確に記入すること②情報を遡れるように長期間保存することも重要なのです。

 このように、農場で働くメンバーにとっても、授精師や獣医師などの毎日は農場にいないメンバーにとっても、繁殖記録は重要なのです。それでは、どのように記録・保管・共有すればいいのでしょうか?次回は具体的な繁殖記録の活用方法についてご紹介します。
 
 
 
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