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戸田克樹のコラム
第415話「人間と獣の果てしなき戦い③」

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2023年11月9日

野生動物がやってこない農場づくりのポイント紹介コラムのつづきです。

② 入りづらい農場とは?
野生動物はどこからでも農場内に入るわけではありません。特に陸生動物は目的地まで向かうのに好きなルート(けものみち)があり、同じような道や同じような場所から侵入します。その侵入経路さえ特定できれば対策が取れます。農場全体を囲うことはできなくても、頻繁に入ってきている場所の周囲に金網をはるなどして通路を塞ぐ。農場の入り口や通路に扉がある場合は必ず扉は閉める、など、今あるものを最大限に活かすことも大切です。
ところで、空からはカラスやハトなどの鳥類が入ってきます。彼らの侵入を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。とある農場で効果があった対策法2点を今回はご紹介します

その1:細い糸ピンと張る作戦
農場全体を網などで覆うことができれば一番いいのですが、破れることも多い上に、全体をカバーするのが難しい難点もあります。そこで活躍するのが細い糸です。釣り糸など遠くからだとよく見えないものがよいです。それを人がぶつからないくらいの高さを目安にピンとはって結んでおきます。もしカラスなどが入ってこようとすると、その糸にぶつかるのですが、そのときにビックリしますよね。そこがポイントです。驚いたら次からは警戒して同じようなルートからは入らないようになります。

その2:捕獲したカラスを開放する作戦
捕獲器や免許が必要なため、簡単ではありませんが、これも効果がありました。通常は捕獲したカラスは処分するのですが、この方法では、しばらくしたら敢えて逃がします。最初は私も「なぜ逃がすの????」と思いました。しかし、この方法は逃がすことに意味があります。捕まってしばらくそのままにした後に逃がすと、巣に逃げ帰って仲間に知らせるようなのです。実際に捕獲したカラスをしばらくしてから逃がしたあと、たくさんのカラスが一斉に逃げた様子を見たと農家さんはおっしゃっていました。そして、それからは農場にカラスが来ることはなくなったそう。すさまじい威力です。

つづく
 
 
 
今週の動画
牛の尿石を綺麗に落とす

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