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加地永理奈のコラム
流産、早産、死産の定義

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2023年11月8日

流産、死産、奇形、様々な異常産がありますが、現場でお話しするときは感覚的に言葉を当てはめてしまいます。
実は獣医学的にきちんとした定義があり、次のようになっています。

「流産」とは、生存能力がまだ備わっていない胎子が娩出されることです。そのため、生きて産まれてきても、たいていは24時間以内に死亡してしまいます。
胎子が母牛のお腹の中で生存能力を備える時期は、妊娠8ヶ月の頃です。つまり、分娩予定より2か月早く産まれてしまったような子は流産と言われます。毛も生えそろってなく、生存が難しいです。

生存能力を備える時期以降に生きて産まれた場合は、「早産」と呼びます。1か月早産の子牛がたまに産まれてくることがあると思いますが、体は小さく未熟ではあるものの、育てていくことができます。

生存能力を備える時期以降でも、死んで娩出された場合や、娩出途中に死んでしまった場合は「死産」と呼びます。
産まれたときは生きていても、虚弱ですぐに死亡してしまった場合は「生後直死」と呼び、死産とは区別されます。

ちなみに授精してから受胎が安定する42日までに流れてしまったものは「胚死滅」と呼びます。
奇形は、発生時期に関係なく先天的に形態異常がみられた場合は奇形と呼びます。

異常産が増えたと感じたら、どの時期が多いのか、定義に則って区別してみることで原因を予想できることもあります。
母牛にストレスがかかっても異常産は増えますし、感染性のウイルス等が原因の場合もあります。そのため、異常産が2頭以上続くような場合は速やかに獣医師に相談してみてください。
 
 
 
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