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加地永理奈のコラム
栃木県内でサルモネラ続発

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2023年11月1日

先日、栃木県北家畜保健衛生所から、「管内でサルモネラ症が続発」というお知らせが届きました。
那須塩原市内において、今年の6月から現在までに5戸で発生しているそうです。
栃木の家畜伝染性疾病発生状況(令和3年までのデータ)をみると、一昨年は発生0頭でしたが、その前は令和元年に24頭と多く発生していたようです。何をしても治らなかった、という記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

サルモネラ症の主な症状は、子牛で40℃を超えるような発熱下痢で、治療しても再発が多く、死亡率が増加します。成牛でも発熱や血便がみられます。

夏に発生しやすいとされていますが、発生事例をみると、7~8月よりも9~11月の涼しくなり始めた時期の発生が多く見受けられるケースがあります。
その要因としては、暑熱ストレスによる牛の体力低下に加え、変敗サイレージの給与、二番草もしくは三番草への変更等により、ルーメン環境が悪化し、ルーメン内でサルモネラ菌が生存、増殖したと考えられます。

今年は記録的な猛暑により、特に牛たちの免疫力が落ちています。サルモネラ症の広がりが確認されている今、予防対策について再度ご確認をよろしくお願いいたします。

① 牛の導入や下牧時は、一度隔離して経過観察しましょう。
② 野生動物の排泄物等が汚染源になります。牛舎内、特に飼槽周辺の清掃・消毒を徹底しましょう。
③ 農場スタッフも含め、農場来場者・車両の消毒を徹底しましょう。

発生を防ぐにはサルモネラ2価ワクチン接種が大変有効です。
また、サルモネラは細胞内寄生菌であるため、一度感染すると症状が再発しやすいのが特徴です。その対策には、症状が落ち着いても生菌剤の給与を続けて細菌叢を安定させることが大切です。

これからの時期、同じく下痢の症状を示すコロナウイルスも流行りやすくなります。
早期から正しい治療で対処できるよう、下痢の症状が見られたら早めに獣医師にご相談ください。
私たち獣医師も、これ以上広げないよう最大の注意を払ってまいります。
 
 
 
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