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加地永理奈のコラム
繁殖和牛でも代謝プロファイルテスト③

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2023年10月25日

日々の栄養管理は繁殖成績に大きく影響を及ぼします。
しかし繁殖和牛は栄養状態の変化を症状として捉えにくいため、牛群の栄養状態を客観的に評価する基準として、乳牛でよく利用されている代謝プロファイルテストが有効です。
前回は、エネルギー不足を例に代謝プロファイルテストでみる値についてお話しました。

代謝プロファイルテスト結果から牛群の栄養状態を確認した後は、現場で飼料内容の確認を行います。
その内容は、お腹を満たす乾物摂取量(DMI)、体をつくるタンパク質(CP)、エネルギー源となるカロリー(TDN)のバランスです。

繁殖和牛は、たくさん泌乳する乳牛と比べて必要な栄養量(TDN)が少ないため、たくさん食べると太ってしまい、繁殖性が低下します。しかしTDNに合わせてDMIが少なくなってしまうと空腹ストレスになってしまいます。
必要な栄養量は繁殖ステージによって大きく変化します。
農場間でも、密度や運動量といった環境の違いにより、必要な栄養量は変化します。
また、給与する飼料が一見すると同じ草でも、飼料分析するとTDN,CPの成分が倍以上違うこともあります。

このように飼料のバランスをとることが難しいなかで、代謝プロファイルテストから疑われた問題点を改善するためには、給与した飼料の量をはかり記録することが大切になります。
給与する飼料の飼料設計を適正に行い、決められた給与量を給与し、牛がその給与量を摂取することが必要です。
繁殖和牛では即効果が見られない場合もあるようですが、飼養管理の根本を改善するため、良くなればそのまま維持されます。代謝プロファイルテストは、継続は力なりです。
 
 
 
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