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藤﨑ひな子のコラム
繁殖データ⑨~発情発見率向上②~

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2023年10月20日

 雨が降ってからは気温もだいぶ下がり、25℃を上回らないようになってきました。布団も服も衣替えしないと風邪をひきそうです。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 前回のコラムでは発情発見率を向上するために観察の重要性をお伝えしました。今回のコラムでは、発情発見をサポートしてくれる道具についてお話しします。
 
 1つ目はテイルペイントです。牛の発情行動にスタンディングとマウンティングがあります。スタンディングとは乗駕許容状態で、発情時はじっと動かず乗駕を受け入れます。マウンティングは乗駕行動で、こちらは確実に発情しているとは言えませんが、発情している可能性があると言えます。テイルペイントは、この行動を利用した道具で、尾根部に帯状に塗料を塗ります。この塗料がはがれている牛は乗駕を許容した牛、すなわちスタンディングしていたと考えられ、発情中であると言えるのです。テイルペイントはカラーバリエーションが豊富ですので、例えば分娩後40日以降の牛には緑、授精後の牛には黄色、妊娠鑑定後の牛にはオレンジなど色を使い分けます。そうすることによって発情牛を発見しやすくなったり、時には流産している牛を発見できたりします。
 ただし塗料がはがれている牛が100%発情しているとは限りません。例えば、牛群の中で弱い個体だったりしますと、発情の有無に関係なく塗料ははがれてしまいます。また、春のように暖かい季節になりますと、疥癬が発生し、牛はかゆくて体を至る所にこすりつけてしまい、塗料がはがれることもあります。
 テイルペイントはあくまで発情発見の補助道具でありますので、日ごろの観察がやはり重要だと思います。
 
 
 
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