(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第411話「人為的シコリ その1」

コラム一覧に戻る

2023年10月5日

枝肉の瑕疵の中には「ウ(シコリ)」というものがあります。本来は筋肉があるべきはずのところが結合組織に置き変わってしまっている状態です。そこは食肉部位にできないため、残念ながら除去されてしまいます。瑕疵があれば枝肉価格に影響しますし、範囲が広ければ切除によって枝肉重量も減ります。βカロテンやビタミンA・Eなどの不足もしくは細菌から放出されるエンドトキシンによって生じるとされるズル(筋肉水腫)の影響や、牛群内での闘争、低すぎる馬栓棒による慢性的な筋肉の圧迫といった物理的要因によって筋繊維が変性壊死を起こし、そこを結合組織が埋め合わせた結果シコリになると考えられています。

こうしたシコリを予防するためには、肥育期間中の血中ビタミンA濃度の推移を適切なものにして欠乏症を発生させない、暑熱ストレスなどの強いストレスがかかる機会をなるべく減らす、抗酸化作用のあるビタミンイーなどを給与する、アシドーシスが起こりにくい飼料管理法を構築しエンドトキシン発生量を抑制する、肝機能サポートのために定期的に強肝剤を給与する、パドック内に牛の筋肉を傷めるものがないか確認する、といった対策が必要です。これをやっておけばシコリは出ない!といった絶対的な対策はないので、まずは「その牧場でシコリが出る原因は何か」を探ってみる必要もあります。結構大変です。

「ビタミン不足、エンドトキシン、物理的要因によって筋肉がダメージを受け、その結果シコリが発生してしまう」ということは分かりました。しかし、実はそれ以外にも私たち人間がシコリを作ってしまうことがあるのです。それが一体何なのか・・・・。

それについはまた次回!
 
 
 
 
今週の動画
こんにちわ~ 臍動脈(臍動脈遺残)

|