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藤﨑ひな子のコラム
繁殖データ⑦~受胎率向上③~

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2023年9月29日

 秋分の日を過ぎたあたりから、日中の気温も過ごしやすい気温となり、やっと秋が来たように感じます。この時期になると過ごしやすくなるので、人も牛も採食量が増えますね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

 前回のコラムでは、受胎率低下を環境の管理の面からお話ししました。今回は、授精面からお話ししたいと思います。

 授精するのに良い期間のことを授精適期といいます。授精適期は、排卵時期、卵子の受精能保有時間(6~10時間)、精子が受精能を獲得するのに必要とする時間(6~8時間以上)、精子の受精能保有時間によって決められます。これらを考慮すると、発情開始から12~16時間後が授精適期となり、良好な受胎率を得られると考えられています。これをもとに発情を発見する時刻によって、授精時刻を決定するのがAM―PM法です。AM―PM法は、午前に発情を発見した場合には、その日の午後に授精し、午後から夕方にかけて発情を発見した場合には翌朝に授精を実施するという方法です。これは、発情発見にもかかわる話なので、次回以降にさらに深堀しようと思います。

 他にも受胎率を向上する手段として、定時人工授精という方法があります。定時人工授精とは、ホルモン剤の処置によって人為的に発情周期を調整し、計画的に人工授精をする技術のことです。プログラム授精とも呼ばれます。この技術のメリットは計画的に人工授精をするので、発情兆候が弱い牛などで発情を見逃しても、授精することができるという点です。この定時人工授精には、オブシンク、CIDRショートプログラム、モディファイト・ファストバックなど様々な方法がありますので、興味のある方は是非調べてみてください。

 次回のコラムでは発情発見率の向上についてお話しします。
 
 
 
 
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