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繁殖データ⑥~受胎率低下②~ |
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2023年9月22日
コンビニのお菓子に焼き芋味が登場するなど、暦の上ではすっかり秋です。気候も秋らしくなってもらいたいものです。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
前回のコラムでは、受胎率低下を母牛の管理の面からお話ししました。今回は、環境面からお話ししたいと思います。
このコラムを書いているのは9月中旬ですが、鹿児島はまだまだ残暑が厳しいです。まさしく、この「暑さ」が受胎率低下を招いている一つの要因になります。
例えば、牛は分娩後に細菌感染により子宮内膜炎になることがあります。細菌感染は自然なことで、牛自身の免疫で治癒します。しかし、ここに暑熱ストレスが加わると、免疫が低下し治りづらくなります。そのため、受胎が厳しい環境となってしまいます。また、暑熱ストレスにより、授精後まもなく成長せずに流れてしまう早期胚死滅の確率が高くなることも知られています。他にも卵子の成長を阻害するなど、暑熱ストレスは繁殖に様々な面で影響を与えるのです。
この暑熱ストレスを低減するために、畜舎に送風機やミストを付けている農家さんもいらっしゃいます(夏季の間は送風機とミストの角度を、風や水が牛に届くような角度にしてくださいね)。暑熱によりビタミンAの低下が著しくなるので、ビタミンの補給も重要です。また、肝機能も低下してしまいますので、強肝剤の添加などによる肝臓のケアも心がけてみましょう。
さらに牛群密度も受胎率に影響を与えます。繁殖農家さんの中にはマス飼いをされている方もいます。マスの密度が高いと、横臥できずに立っている時間が長くなったり、採食時間が短くなったりします。これにより群の中で体格や栄養状態にばらつきが出て、ストレスや栄養不良で受胎率低下を招くことがあります。ですので、1頭1頭が横臥できるスペースとそのマス全頭の牛がゆっくり採食できる飼槽が必要となります。
次回は授精の面から受胎率低下について探っていきます。
今週の動画
皮膚糸状菌症
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