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藤﨑ひな子のコラム
繁殖データ⑤~受胎率低下①~

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2023年9月15日

 一昨日まで、岡山県、広島県、島根県と中国物産さんの巡回に同行させていただきました。向かう前は涼しくなっているのかなと思っておりましたが、やはり日中は暑さが厳しかったですね。朝、晩は冷え込みだしましたので、牛も人も寒暖差に気を付けましょう。

 前回のコラムでは「受胎率」と「発情発見率」を掛け合わせた「妊娠率」についてお話ししました。その農場が1回の発情でどのくらい妊娠しているかという指標です。もし、その農場で「妊娠率」が低い場合、「受胎率」か「発情発見率」、もしくはその両方に問題があるのか探る必要が出てきます。

 今回のコラムでは、「受胎率」を低下させている原因についてお話しします。「受胎率」が低くなる原因は複数ありますが、今回は母牛の管理に焦点を当ててみます。

 1つ目に、母牛の栄養が足りていないことです。卵巣への栄養供給は体温維持などと比べると、どうしても後の方になってしまいます。そのため、低栄養状態だと繁殖成績が下がってしまう可能性が大きくなるのです。栄養不足が原因かどうかを判断するために、母牛のボディコンディションスコア(BCS)や血液検査結果を確認しましょう。また、稲わらのみを粗飼料として給与していると分娩後にビタミンAやカロテンが欠乏してしまうことがあります。ビタミンAやカロテンの不足は不受胎を引き起こします。一方、栄養が過剰な場合も繁殖成績が悪くなってしまうことがあります。定期的にBCS(理想はBCS:3.0)を確認し、ウシの状態に合った飼料給与を行いましょう。

 2つ目に、飼料の品質が「受胎率」に影響する場合もあります。例えば、自家産乾草や自給サイレージの保管方法が不適切でカビが生えた場合、それを給与された牛は体調不良を起こします。また、カビ毒には繁殖障害を起こすこともあります。カビは思っているより身近にあります。自家産でなくても、稲わらや配合飼料は油断すると(時には油断してないつもりでも、、)生えてしまいます。牛に給与する飼料は毎回入念にチェックしましょう。

 今回は母牛の栄養面・飼料面から「受胎率」の低下を探っていきました。次回も別の角度から「受胎率」の低下について考えていきます。
 
 
 
 
今週の動画
脚を痛がる子牛(懸垂跛行)

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