(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
藤﨑ひな子のコラム
繁殖データ④~妊娠率~

コラム一覧に戻る

2023年9月8日

 9月に入りましたが、残暑が厳しいですね。人も牛も暑熱対策を引き続き行っていきましょう。

 前回のコラムでは、初回授精から最終授精の間に起こった発情を何回発見することができたかを表す「発情発見率」についてご紹介しました。この指標が時間要素も含まれているため、効率の良い繁殖管理を行う上で重要な指標です。

 さて、今回のコラムではこれまでのコラムで紹介した受胎率と発情発見率を組み合わせた指標である妊娠率について紹介します。
 妊娠率は(発情発見率)×(受胎率)という計算式で求められ、いかに発情を見逃さず授精できたか、そして受胎させられたか、を表す重要な指標です。具体的な計算方法をみてみましょう。

 ある農家さんに3頭の(ウシA、ウシB、ウシC)の繁殖母牛がいたとします。
 ウシA:初回授精を分娩後40日に行い受胎せず、2回目の授精を分娩後124日で行い受胎。
 ウシB:初回授精を分娩後40日に行い受胎。
 ウシC:初回授精を分娩後40日に行い受胎せず、2回目の授精を分娩後61日で行って受胎。

 この農家さんの発情発見率は63%です。発情発見率の具体的な計算方法は前回のコラムをご覧ください。また、この農家さんの受胎率は(3頭)÷(5回)× 100 = 60%です。
 これらの値から、妊娠率=(発情発見率)×(受胎率)= 63% × 60% = 37.8%となります。なので、この農家さんでは1回の発情で受胎する確率が37.8%ということになります。  

 妊娠率を月毎、3ヶ月毎、半年毎、1年毎と算出し、比較することによって、現在や過去の繁殖状況を把握する助けになります。

 次回からのコラムでは、妊娠率を上げるためにはどうしたらよいかについてお話します。
 
 
 
 
今週の動画
暑熱ストレス対策決定版??? (獣医さんの・・・)

|