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戸田克樹のコラム
第409話「夏の始まりは熱中症から⑧」

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2023年9月21日

~熱中症牛を出さないためには~

これまでは熱中症の牛が出たときの対応についてご紹介してきました。しかし、出ない方がいいのは間違いないですよね。夏の疲れは夏が過ぎてから出てくることも重要なポイントです。夏の暑さによるダメージは少しずつ蓄積されていき、季節の変わり目(ちょっと涼しくなってきたり、日中は暑いが朝晩が冷え込んできたり)にドン!!!と出てくる傾向があります。

直射日光が当たってしまう部屋には遮光シートや防虫ネットなどで日陰ができるようにしてあげたり、ミストの設置で定期的に体に水がかかるようにしたり、扇風機の風量を上げたり、牛群移動などの際に舎外に牛をつなぐ時間をできるだけ短くしたり、少しでも暑さをしのげるような対策はもちろん大切です。また、暑熱ストレスによって、肝機能が減退したり、ビタミンAレベルが下がったりするため、そちらの対策も重要です。定期的な添加剤の給与や、ある程度月齢の進んだ牛には早めにビタミンを投与するなど、少しでも健康である状態を維持することで、熱中症や暑熱期の食欲減退を予防することができます。ビタミンAやβカロテンだけでなく、ビタミンイーも抗酸化作用があるので、ビタミンイー入りの固形塩の設置もおススメです。また、採食量のムラからルーメン内の発行バランスが崩れやすいため、生菌剤を給与する、消化管粘膜の状態を安定化させるために亜鉛製剤を添加するといったこともいいですね。

添加剤はいろいろやりすぎると何がよかったのかわかりにくくなりますし、かえってルーメン内の細菌叢のバランスを崩す可能性もあるため、なんでもかんでも与えればいいもので注意が必要ですが、「熱中症対策に夏はこれをやる!」というプランが何かひとつでも牧場で見つかることを願っております。


 
 
 
 
今週の動画
脚を痛がる子牛(懸垂跛行)

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