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戸田克樹のコラム
第408話「夏の始まりは熱中症から⑦」

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2023年9月14日

~熱中症牛を見つけたら~

パターン③「直腸を冷やす」
これまでに紹介したような「冷水で全身を冷やす」というやり方や「氷水を飲ませる」といったやり方で熱中症への処置はばっちりです。ただ、全身を濡らす場合は水場まで移動させることが必要ですし、氷水を飲ませるのも少しテクニックが必要です。「どちらも難しいな・・・」というケースにも遭遇するかもしれません。

そんなときにおススメなのが今回ご紹介する「直腸を冷やす」という方法です。必要なものは細長く膨らんでくれる風船か傘袋のような細長い袋です。これに水を入れておいて凍らせておく、もしくは氷を入れておくなどしてキンキンに冷えた水をたっぷり入れて使用します。ターゲットはズバリ直腸です。糞をある程度かきだしたら、直腸内に凍らせたもの、もしくは冷水を満たした袋をいれて、しばらく放置です。そうすると、徐々に内側から体温を下げてくれます。とくに凍ったものを入れておくと、溶けて水に戻ったらおしりからプリっとでてくるので、入ったままで取り出せない!というような心配もありません。ある程度凍ったものをストックしておくと、気になったらすぐに肛門から入れ込めばいいので、作業も簡便で取り組みやすいかもしれません。

続く
 
 
 
 
今週の動画
脚を痛がる子牛(懸垂跛行)

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