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戸田克樹のコラム
第407話「夏の始まりは熱中症から⑥」

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2023年9月7日

~熱中症牛を見つけたら~
パターン②「ルーメンを冷やす」

体表を冷やすような場所がない!
起立欲の低下などのために濡らせる場所まで連れていけない!
少しでも早く体温を下げたい!

といった状況では、氷水を飲ませるという選択肢をとることがあります。私たちが熱中症で往診依頼を受けたときは「氷水の経口or経鼻投与」という方法をとることがほとんどです。飲ませる量は10~20L程度で、氷の量は「キンキンに水が冷えるまで」入れてもらえれば十分です。もちろん大量に氷がある場合は大量に入れてキンキンキンキンキンに冷えた氷水を作ってあげてください。ちなみに、こちらの診療所管内には凍らせたペットボトルを事務所の冷凍庫に大量に常備している牧場も多数あります。これがあると、製氷トレーで作っていた氷が足りなくなったとき(複数頭の熱中症が同時多発したとき)でも氷水をたくさん作ることができます。

氷水を飲ませると、数十分で呼吸が落ち着いてきたり、涎がなくなったりします。1時間もすれば直腸温も下がってきます。ルーメンは発酵が起こる場所のため、発酵熱の産生場所です。そこを直接冷やすことで、より確実に体温を下げることができます。
あまりにも暑くてヘロヘロになっているときは、牛に氷水を飲ませているときは「この水飲ませてほしーなー」とぼ~っと考えることもあります(笑)

続く
 
 
 
 
今週の動画
暑熱ストレス対策決定版??? (獣医さんの・・・)

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