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蓮沼浩のコラム
第747話:58万円

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2023年9月19日

飼料価格の高騰ならびに子牛価格の下落が子取り用めす牛(繁殖牛)農場にとって大きな問題となっています。そのため、国も和子牛生産者臨時経営支援事業を立ち上げ、黒毛和種の場合は・・・

60万円とブロック別平均価格の差額の3/4の支援

を打ち出しています。

大体「58万円」程度の収入を得られるように制度は設定されているとのことです。

いかにして子牛1頭を作り上げる経費を58万円以下にして、子牛1頭の売上を58万円以上にするかということになります。この金額が肝になります。

ある農家さんと話すと速攻で「蓮沼先生、無理無理無理!!!!」との回答。

そりゃ、言いたくなる気持ちはよくわかりますが、何とかしなくてはいけません。
ひとまず「貸借対照表」と「損益計算書」の数字を紙が燃えあがるぐらいに注視して「経費58万円以下」を達成する方法を探りながら、もうひとつ考えていただきたいことがあります。

実は乳牛の世界では「性判別精液」というものが広く普及してきています。酪農家さんではホルスタインの雄子牛が生まれると経営に大きな損失がでてしまいます。そのために、平成27年ごろから「性判別精液」の使用が増えてきています。令和5年の第一四半期では授精頭数の20.7%を占めるようになってきています。もちろん、F1子牛を作るために和牛の精液を授精したり和牛をつくるために受精卵を移植したりもしています。

翻って和牛の子取り用めす牛(繁殖牛)農家さんは、ほぼ人工授精のみです。
和牛では性判別精液がないので、受精卵移植に取り組むことも考えてみても良いのではないでしょうか。血統があまりよくない母牛や高齢牛などをレシピエントとしてみてはどうでしょうか?

色々と難しい問題はあると思いますが、少しでも子牛1頭の売上を58万円以上にするためには考えても良いと思います。
 
 
 
 
今週の動画
脚を痛がる子牛(懸垂跛行)

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