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蓮沼浩のコラム
第746話:子取り用めす牛(繁殖牛)の飼養頭数

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2023年9月12日

今回のコラムは前回の続きになります。今回は前回と異なり、子取り用めす牛(繁殖牛)の飼養頭数を規模別に分類してみました。

前回同様に9頭以下を小規模、10頭~49頭を普通、50頭~99頭を中規模、100頭以上を大規模としています。これは小生が勝手に分類しました。大まかに傾向をつかむために円グラフを作ってみると、以下のようになります。データは令和4年になります。

小規模と中規模の飼養頭数がほとんど同じで全体の17%。その次に大規模が25%となり、一番多いのが普通の41%となります。小規模と普通を合わせると全体の58%をカバーしています。戸数ではこの小規模と普通を合わせて94%を占めていましたが、頭数では58%となります。大規模の戸数は全体の2%ですが、頭数は25%を占めます。

ではこれらの頭数は最近どのように変化しているのか?
平成31年からのデータをグラフにすると以下のようになります。

ちょっとわかりにくいですが、平成31年から令和2年にかけて頭数がグッと伸びています。小規模と普通でともに昨対比で20%以上頭数が増えています。しかし、その後は徐々に頭数は減少してきています。平成31年は全体の頭数が1,336,000頭であったのが、令和4年には1,572,000頭になっています。18%増加しています。

ここからはあくまでも小生の推測ですが、現在の飼料価格高騰、子牛価格の低迷、農家さんの高齢化および後継者不足の問題から、いわゆる小規模および普通が今後急激に減少してくるのではないかと考えています。中規模や大規模も当然上記の問題および、人員確保や疾病予防などの観点から今まで以上に頭数を増やすことは非常に難しいと考えます。また、現在は酪農家さんで生まれた受精卵子牛が増加し、新たな世界が広がる様相を呈してきています。北海道では和牛の受精卵移植が18~20年度は3万件前後だったものが、2022年は5万件を超えています。爆増しています。受精卵子牛の今後の動向についても注目です。

本当に最近はつくづく時代の大きな流れを感じます。自分の出来ることを無心に粛々とやっていこうと思います。
 
 
 
 
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