カルシウム欠乏症で倒れた場合は、あわてて助けようとして刺激を与えると心臓麻痺で死んでしまう場合があります。出来るだけ刺激を与えないように、もしも同居牛がいたらそれらを繋いで他の牛が刺激を与えないようにしてあげましょう。カルシウム欠乏症だけであれば、しばらくすると痙攣が解けて何事もなかったように起きあがる事が多いのですが、もしもビタミンA欠乏による脳水腫などを併発している場合は、急いで食肉処理場に運ばないと命に関わる場合が多いので注意して下さい。いずれにしても、最近はポジティブリストの関係でカルシウム剤にすら出荷規制がつきますから、なかなか発症して倒れた牛さんへの対応が難しくなっています。 ウルカルは、経口剤で急速に血中のカルシウム濃度を上昇させることが解っていますが、倒れたもので間に合うかについては、現在検討中です(というのも、僕のコンサル先や診療所管内では最近カルシウム欠乏が出ないので、なかなか試験できないのです)。 カルシウム欠乏を防ぐためには、1:腹の出来た子牛を導入すること(粗飼料主体で飼われていたので、粗飼料に含まれるカルシウムを豊富に骨に蓄えているから)、2:導入時には良質の粗飼料(きれいな緑色でタンパク・カロリーが高く、嗜好性のよいもの)を十分給与する、3:肥育期間中の粗飼料は、可能ならば良質のイナワラが好ましい、4:ビタミンA欠乏を起こさない、などの工夫が必要です。
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