(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
藤﨑ひな子のコラム
繁殖データ①

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2023年8月18日

 シェパードでは、日々の個体診療に加えて定期的に農場を訪れる「巡回」を行っています。私も今年から、牛の餌屋さんである中国物産さんの巡回に参加しています。

 私たちの仕事は、個体診療でも巡回でも、まずは「今の問題点は何か?」を把握することから始まります。巡回農家さんは、通常私たちが診療を行わないため、現状を正確に把握するのが難しいことがあります^^;

 獣医師がどのように問題点を把握しているのかについてご説明します。シェパードが管轄する地域では黒毛和種の生産が盛んで、繁殖に関する相談が多く寄せられます。繁殖で悩む農家さんに対して、私たちがどのようなアプローチで問題解決しているかをお話しします。

 まずは農家さんのお話をしっかりと聞きます。「最近なんか調子悪いのよ」「餌の食いが悪いのよ」「授精してもとまらないのよね」など、日々牛たちを観察している農家さんならではの違和感や不安がとても重要な情報になります。

 次に、農場を農家さんと一緒に見学します。牛の検査を行ったり、農場の施設や飼料の状態を確認したりして、客観的な情報を収集します。獣医師は直腸検査や膣検査を通じて、牛の卵巣や子宮の状態を評価します。また、農家さんが記録している繁殖データを活用して、発情や授精、妊娠の状況を分析します。これらのデータは、農場の現状を正確に反映する貴重な情報源です。

 農家さんの話と農場のデータをもとに、現状を把握したら、具体的な解決策を提案します。問題点が複数ある場合、影響が大きいものから順に取り組み、優先順位を付けて対策を提案します。農家さん、獣医師、巡回に同行する餌屋さん、時には家畜保健衛生所の関係者さんなど、多くの人が協力して農場の問題を解決していきます。ここで、私たち獣医師が果たす最も大きな役割は、客観的なデータをもとにした分析です。

 次回から、私たちが分析する繁殖データの項目についてお話しします。
 
 
 
 
今週の動画
子牛の誤嚥と哺乳乳首チェック

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