(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第403話「夏の始まりは熱中症から②」

コラム一覧に戻る

2023年8月10日

 人間ほど汗腺が発達していない牛は呼吸によって放熱をしなければいけません。そのため、外気温が上がってくると呼吸回数が増えてきます。そうすると。呼吸の度に鼻がヒクヒクする鼻翼呼吸が見られたり、頭が上下するような努力性呼吸が見られたりするようになります。ここまではまだ大丈夫です。鹿児島でも猛暑日になると頭や体を揺らしながら呼吸をしている牛が多数出てきます。しかし、そんな中でもほとんどは反芻していたり、エサをよく食べていたりしているので農家さんも「まあ暑いからね~」といったような感じです。人間も暑いから汗をドバドバかくけど、食欲があって元気があれば、水を飲んだり休憩をきちんととったりすれば問題ないですよね。そのようなイメージです。

 では焦った方がいいのはどのような場合なのでしょうか。危険度が高いものを放置してしまうのはよくないですから、すぐに処置しなければいけないケースをまずは紹介します。先に紹介したような鼻翼呼吸や努力性呼吸に加えて、もしも以下のような特徴があった場合は「すぐに対処コース」になります。
① 体温が40℃近い、もしくはそれ以上ある
② 起立欲がない(人が近くにいても座ったままで動こうとしない)
③ 開口呼吸している、ベロを出して呼吸している
④ 涎が口の周りについている
この4つがポイントです。こうした様子が見られた場合は獣医師への診察を依頼する、体を冷やす、氷水を飲ませる、といった対応をなるべく早くとってあげることが必要になってきます。

つづく
 
 
 
 
今週の動画
ファイナル・アンサー Final answer

|