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松本大策のコラム
今年も熱中症にご注意

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2023年8月7日

 松本です。ずいぶんとご無沙汰してしまいました。種雄牛とケンカして、まだ入院中です(^_^;。ようやくパソコンを使えるようになったのでコラムを再開しようと思います。
 本当なら事故の顛末のお話を最初に書こうと思ったのですが、今年も例年に漏れず猛暑による熱中症で、牛さんの被害がでているということですので、まず熱中症のお話をしてから、次に僕のケガのお話をしようと思います。

 まず熱中症の症状についてですが、結構肺炎と誤診されるケースもあるようです。逆のケースもまた同様にあります。いずれの誤診でも治療効果は上がらないどころか、経済価値がなくなったり、場合によっては死に至ったりするので注意しましょう。

 見分け方ですが、体温と聴診だけでは難しいこともあります。肺炎はもちろんのこと、熱中症でも肺水腫を起こしていて肺炎の時と同じような聴診音がするからです。
 ではどうやって見分けるか?というと呼吸の速拍と大きさが一つの目安になります。肺炎の場合、よほど末期にならないと呼吸が大きくはなりません。それから熱中症ではヨダレが出てくることが多いです。そして重要なのが、状況です。涼しい朝のうちに呼吸速拍と体温上昇する場合、熱中症は考えにくいですよね?それと同時に、症状はその1頭だけなのか、他にも似た症状の牛さんがいるのか、それからご自分を振り返って「今日は暑くてだるいな」と思うか。こういう事に当てはまると環境要因の熱中症の疑いが強くなります。

 熱中症を発見したら、まずは十分に冷やすこと。痕できれば血液をさらさらにしてあげるために、7%重曹注と酢酸リンゲルなどの点滴をしてあげましょう。できればアリナミンやレバチオニンなどのビタミンB群を混ぜてあげるとなおよいです。
 冷やす場合、まずは後頭部に十分水をかけてしっかりと10分ほど冷やしてから、徐々に全身に水をかけていきます。いきなり全身にかけるとショックを起こすことがあるんです。
 そして体温が正常に戻るまでしっかり冷やすこと。ここがいい加減だと鬱熱が残り完全に回復しません。そして水をかけた後はしっかりタオルなどで拭き上げて、できれば扇風機で乾燥さてあげましょう。体毛に水が残っているとここが断熱層になってすぐに熱中症再発となります。

 Youtubeにあげておきますから、そちらもご覧下さい。

 
 
 
 
今週の動画
【採血】採血っていつするの?②

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