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戸田克樹のコラム
第401話「隔離する理由②」

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2023年7月27日

前回に引き続き、なぜ獣医師が隔離を指示するのかについて、その理由を挙げてみました。

理由その②ゆっくりできる
他の牛がいないと、とにかくゆっくりと休めます。他の牛が走り回ったりしたせいで仕方なく動かなければいけない、というような「意に反して動く」状況は起こりません。休みたいときはずっと休んでいていいのです。特に運動器疾患では、休息はとても大切になります。また、広い部屋ではなく少し狭い部屋で管理できないか提案することもあります。飼槽や水飲み場に移動するための距離が短くなるため、四肢や心肺への負担を減らすことができるためです。

理由その③様子がよく分かる
1頭しかいないため、その部屋の前を通りながら観察する牛も1頭だけです。そうすると、人間の持つ観察力が1頭に集中して注がれます。その結果、ちょっとした違和感もすぐに察知することができます。さらに、エサの残飼量も正確に把握できるため、食べているのかどうかも一目瞭然です。

 そもそも隔離用の部屋がない!という牛舎もあると思います。しかし、隔離した途端に症状が落ち着くケースも多いことも事実です。やはり、1部屋でも病畜用の部屋は確保しておきたいところです。1頭部屋を作ることが難しい場合は隔離したい牛と群内の弱い個体を併せて2頭の部屋を作ったり、隔離したい牛同士で小さい群れを作ったりすることもあります。弱い牛同士であれば、意外に(?)仲良くやってくれることもありますので、1頭用の部屋を作れない場合はおススメです。

終わり

 
 
 
 
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ウシの上の前歯

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