2023年7月18日 診療をするうえで非常に重要なポイントとして「危険予知」というものがあります。簡単にいえば以下のようになります。 職場や作業の状況の中に潜む危険要因を予知、予測すること。 現場で診療するにあたって、あらかじめ起こりうる危険要因について予測しておき、先にその危険性を避ける手段をとっておくことは非常に重要なポイントになります。 小生はこの危険予知を意識して常に一歩も二歩も先をみて取り組んでいるつもりでしたが・・・・ 朝一で初産の難産の往診依頼がありました。橋本獣医師と現場に向かい、さっそく難産介助に入ります。まずは母牛が他の牛が沢山いるスタンチョンの後ろで座り込んで分娩中だったので、他の牛が近くで暴れると危険なので安全な広場に起こして移動させます(危険予知 その1)。 そして、倒れる可能性があるので頭部を低めにロープで固定します(危険予知 その2)。しっかりと産道をマッサージしましたが、胎児が大きいので人力では難しく、牽引する必要があると判断して滑車を準備しました(危険予知 その3)。足が非常に大きく、おまけに母牛は小さめ。そして初産なり。経腟分娩できると判断するも、そのまま引いたのでは娩出時にかなり力がかかり、子牛の肋骨骨折が起きる可能性が高いことが予想されたので陰部切開を事前に行いました(危険予知 その4)。そして、滑車のセッティング場所や滑車を引く場所とロープの長さなどいろいろとチェックを行い、ゆっくりと子牛の牽引をスタートします。 農場の方と橋本獣医師、そして蓮沼で頑張っていると予想通りに母牛が横に倒れました。これは想定内です。しかし、倒れた瞬間に・・・ 「バキャグシャバシャ!!!!」と凄い音。 何事かと思うと、何と横に置いてあったバケツが木っ端みじん。 あれだけ危険予知などと偉そうな事を言っていたのに、目の前のバケツに全く気が付いていませんでした。 そこには哀れなバケツがありました。今回はバケツが壊れるだけで済みましたが、改めて危険予知の重要性を認識した次第です。小生、まだまだ修行の身でございます。 それにしても・・・・ きれいにバケツ、ぺしゃんこになっていたなあ~~~ 前の記事 第737話:老眼 | 次の記事 第739話:ハエ駆除はやはり大切です |