(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
「新たなる年に向けて」

コラム一覧に戻る

2007年12月31日

みなさん明けましておめでとうございます。

 新年のご挨拶は僕の分はトップページに書きましたから、ここでは年頭に当たってこれからの畜産の方向性を考えてみたいと思います。
 先ず、みなさんが心配されている飼料価格高騰の問題ですが、明るい材料もいくつかあります。まず、バイオエタノールに使われる作物が、トウモロコシよりも7倍も転換効率の良いサトウキビに切り替わるので、トウモロコシのひっ迫が解消されるということです。
 約2年で小麦やトウモロコシなどの穀物がGMO(遺伝子組み換え品)に切り替わり、干ばつに強く反当収量も2倍になるということです。穀物の需給バランスは2年で逆転するという予想が出ています。
 粗飼料に関しても、国産イナワラの利用促進をさらに進める対策が打たれる可能性が高いこと、中国産イナワラの輸入再開で粗飼料全体の需給バランスが緩くなること、等から価格・品質とも改善すると思います。

 さて、それでは生産者はどのような経営戦略を立てればよいのでしょうか?繁殖農場では、粗飼料(特にデントコーン)自給を増やし、購入飼料経費を軽減します。飼料計画さえ立つならば増頭も良いでしょう。ただし、みんなが増やすと「豊作貧乏」なんて状況になりかねませんから(実際には、今の繁殖農家さんの平均年齢が68歳なので、さほど供給過多の心配はいらないと思いますが、肥育農場の素牛自給とか、経営悪化の肥育農場の離農などの可能性は考慮しておかなければなりません)繁殖牛飼養頭数などの情報には目を光らせておかないといけません。
 肥育農場では、出来るだけ繁殖牛を導入して「自家育成子牛」を作られることをお勧めします。力のある肥育農場が、生き残りのために次々と増頭しています。資金力のない農場では、なかなか思い通りの仔牛が手に入らなくなることが懸念されるのです。昔とちがって「牛歩」などの観察支援グッズも充実しているし、ラップサイレージの普及で、草作りも集約化できるようになりました。是非取り組んで頂きたい分野です。

 肥育農家さんは、これまで「増体を作り肉質をよくする」という漠然とした目標で経営していたように思います。今年は、自分の顧客ターゲットを明確にする練習をしてみてはいかがでしょうか。小さな農家では、スーパーの求める「安定供給」に応えることは出来ませんが、小さいなら小さいなりに「顔の見える信用力」と「より細かく相手のニーズに応える」事も出来ると思います。高級肉を作れるのであれば、中国やドバイ向けを夢見てもいい。想いは必ず実現します!

ことしも、精一杯しあわせな牛飼いをしようよ!

|