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戸田克樹のコラム
第399話「久しぶりの尿石症」

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2023年7月13日

 数年前は頻繁にオペをしていたのですが、この1年間はまったく尿石症のオペがありませんでした。手術がないのはいいことです。そんなある日、久しぶりに尿石症と出くわしたのです。

 「エサが少し残る」という稟告を受けて診察したのですが、熱もなく、その他に明瞭な異常も確認できませんでした。診断がつけられず、「どうしたものか」と腕組みをしていたところ、「じょろじょろ~」とおしっこをし始めました。ただ、尿の切れが悪く、止まりそうになるとまた出るような排尿の仕方でした。もしや…と思い包皮を確認すると

ありました!最初は「膿か?」と思いましたが、小結石が集まった塊でした。そのせいで包皮も傷ついていました。包皮を触ると足を上げて痛がる様子も見受けられました。そうなると、次にやるべきは直腸検査です。幸い、膀胱は張っておらず、先ほど排尿も確認できたため、尿閉の危険性はなさそうです。そして次に確認すべきは血液検査で腎数値のチェックです。こちらも問題はありませんでした。現在は抗生剤、消炎剤の投与と尿路結石排泄促進剤の経口投与で治療を行っています。

 今回はたまたま診察時に排尿の異常を確認できたので発見できましたが、普段は「腹を蹴る」「しっぽを挙げている」「尿の出が悪い」などの情報がないと尿石症を疑ってかかることはありません。そのため、包皮の状態も毎回チェックするわけではないのです。今回は排尿という形でメッセージを送ってくれた牛に感謝です。ありがとうございました。

 
 
 
 
今週の動画
シース管と使った採尿

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