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笹崎直哉のコラム
Inspection

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2023年6月20日

先日、出張先の農場で清掃の行き届いた牛舎を拝見しました。牛舎の入り口の壁には

定位「決まった場所に戻す」
定品「決まったように戻す」
定量「同じ数に戻す」

という看板が掛けてあり、「私は3定できているかな」と思わず自分に問いかけてしまいました。

皆さんは毎日の作業に加え、普段使っている道具や機械の点検を行っていますか。エサやり以外に敷料交換だったり、牛さんの移動だったり、ワクチネーションなど仕事に追われる毎日だという方もいらっしゃると思いますが、たまには普段気にかけていない箇所を点検してみてください。これを怠ってしまうと思わぬ事故につながるケースがあります。

先日衛生状態など全く問題のない繁殖農家さんの哺育舎を巡回したところ、子牛の咳が散見され気になったので、人工哺乳用の乳首を確認したら

ご覧のように先端の口のサイズが劣化して広がっていました。結果、代用乳を誤嚥させていた可能性が高いという結論になりました。農家さんは「そういえば見落としていた」とのことでした。過去、乳首の口のサイズが大きいと哺乳が早く終わるから良いという理由で故意に口を切って大きくしている農家さんにお会いしたことがありました。当時は誤嚥性肺炎のリスクがあるのと唾液の分泌量が減ってしまうことが代用乳の消化と吸収効率低下につながってしまうと説明し、止めてもらいました。
マニュアルがきちんとできている農場でも、担当のスタッフさん代わったりすると、上手く伝わっていないことがあり、どこかのタイミングで管理の歯車が合わなくなってしまうことがあります。そんなときも第三者が定期的にチェックをしてあげて、軌道修正ができると良いです。私も同様、普段の診療で点検を怠らないようにしないといけません。

 
 
 
 
今週の動画
【聴診】聴診の様子

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