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蓮沼浩のコラム
第733話:適正な価格とは?

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2023年6月13日

畜産業界は色々な分野で難しい問題が山積しています。小生ごときの田舎鼻糞獣医師ではどうしようもない大きな流れの中で、日々翻弄されています。

そのような中、本日「第3回畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議」が開催されます。

「適正な価格形成」といいますが、「適正な価格」とはいかなるものか?

今回はひとつの定義として「再生産に意欲を持って取り組める価格」という表現が使われています。とても重要な定義だと思います。

では適正な価格を形成するために重要なポイントは何だろうか?

小生はその中のひとつが「出口戦略」だと思っています。

高級牛肉を作った。ではそのお肉をいくらでどこに売る?
牛乳を搾った。ではその牛乳をいくらでどこに売る?
卵ができた。ではその卵をいくらでどこに売る?
堆肥ができた。ではその堆肥をいくらでどこに売る?
そして、その値段で希望した量を顧客に買っていただける??
在庫管理がうまくできますか??

なかなかに難しい問題です。難しすぎて小生まったくわかりません。

需要と供給のバランスをとるといいますが、そう簡単にはいきません。今はこの需要と供給のバランスが大きく崩れているように思います。だからといって、経済学者のアダム・スミスのいうような「神の見えざる手」にゆだねていたら、おそらくほとんどの農家さんはやっていけないと思います。農業を資本主義に合わせていく事はとても大変です。

需給バランスをとることが難しい理由のひとつとして「時間」があげられると思います。どうしても畜産物を生産するのには多くの時間がかかります。何せ生き物ですから。世の中の動きに合わせて短期間で調整することが非常に難しいです。和牛は生まれてから約30か月後にお肉となります。2年半後の事なんて予測できません。ほとんどの人は2年半前に今の状況を予測できなかったと思います。まさかウクライナで戦争が始まるなんて予想もできなかったと思います。

もうひとつの理由として、農家さんが「価格決定権」をうまく行使できないことがあげられます。「生産コスト等を価格に反映しやすくするための環境」がありません。「持続可能な農業」などと言いますが、非常に危ういものがあります。「国産国消(こくさんこくしょう)」などとも今は言われていますが、当然生産者だけでなく消費者も世界的なインフレが進む中、厳しい状況が続いています。

果たして今回どのような話し合いが行われるのでしょう・・・・

 
 
 
 
今週の動画
BoviLab use 4 (現場でBovilLabを使ってみよう その4)

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