2023年6月9日 6月のはじめですが、また台風が発生していますね。今年の梅雨は降水量も多いとのことなので、皆さま安全にお過ごしください。 前回までは血液の滞留によって血管内の水分が間質に通常より多く移動し、浮腫になるということについてお話ししました。今回のコラムでは、炎症によって血管内の水分が間質に移動し、浮腫になることについてお話ししたいと思います。 さきほど一部のタンパク質が間質へ移動するとお話ししましたが、この中でもアルブミンというタンパク質が血管内外の水の移動に関与しています。通常、アルブミンは血管内に多く存在しており、血管内でアルブミンが濃い状態となっています。体の中において、水は薄い方から濃い方に移動します。ですから、通常時は間質から血管内へ水が移動しているのです。しかし炎症により間質にアルブミンが漏れ出てしまうと、血管内のアルブミンの濃度は通常時より薄くなり、間質から血管内への水の移動が乏しくなります。また反対に、間質の方が濃くなると、血管から間質へ水が移動してしまいます。このようなメカニズムでも浮腫が起こるのです。 |