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加地永理奈のコラム
卵胞嚢腫の吸引

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2023年6月7日

なかなか受胎しない、発情が来ないという母牛の卵巣をみると、25mmを超えるサイズの卵胞があり、嚢腫となっていることがあります。そして、ホルモン剤による治療を何度か試してもなぜか嚢腫がなくならない、という状況になることもあります。
そんなときはOPU用の針で吸引して物理的になくしてしまいます。
いつものOPUでは吸引用の機械に繋げて卵胞を吸引するのですが、電源が必要だったり、機械を置く台も用意したり、必要な準備が多くなってしまうので、写真のようなものを作ります。

50mlシリンジの先にOPU用針のチューブを入れ込んで、手動で吸引できるようにしたものです。50mlシリンジの先をハサミで切るとOPU用針のチューブが入りやすくなるのが作るときのポイントです。
あとはいつものOPUで使用しているエコーとOPU用プローブを持って、卵巣をうつして針を刺します。私は左手を直腸内に入れ、右手はOPU用プローブと針の操作をするので、50mlシリンジを引いて吸うところは農家さんにお手伝いしていただいています。

このようにとろっとした卵胞液が吸えて処置は完了です。針が刺さること自体が卵巣を活性化させる効果もあり、その後また新しく卵胞が発育して排卵へとつながってくれます。
ホルモン剤が反応しない卵胞嚢腫に対して、以前は手で潰す方法もありましたが、それは卵巣とその周囲へのダメージも大きいので、針による吸引をおすすめします。

 
 
 
 
今週の動画
肥育牛で「股裂き」がありました

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