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笹崎直哉のコラム
直針と翼状針について考えてみる 前編

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2023年6月6日

先日早朝、お産で呼ばれました。はじめは単胎だと思って整復していたところ途中から双胎であることに気が付きました。そのときふと「予定日よりも早い分娩」と農家さんから電話で知らされていたことを思い出しました。助産は杓子定規な考え方では太刀打ちできません。いろいろな選択肢、ケースを想像して農場に向かうことは重要だと改めて実感しました。

先日健康診断を受けてきました。採血のとき、ふとこんなことを思いました。

「そういえば看護師さんは翼状針で採血するときもあれば、直針を使うこともあるな~。両者の相違点ってなんだろう」

私も牛さんの診療で翼状針を使うケースがありますが、翼状針と直針のハッキリとした使い分けをしているわけではないので、これを機に直針と翼状針の特徴を調べてみました。
まずは形状をみてみましょう。

左が直針です。皆さんがよく目にするまっすぐなタイプだと思います。一方で右が翼状針です。両者を比較するとG(ゲージ)数によって様々ですが、基本的には翼状針より直針の方が長いのが特徴です。

翼状針はその名の通り「羽」の部分を持って使います。ものによって様々ですが、針の長さは直針よりも短く作られています。また羽の後ろにチューブが繋がれています。羽は血管確保後の保定にも役立つため非常に便利です。

直針は一定の穿刺角度を有していて、その角度で穿刺すると血管内血液流量が最大になるよう考慮されています。そのため特に人間の医療では少しの振動でも針先が鋭角であるため血管を突き破ることが懸念されています。
一方翼状針は針が短く、血管に対してベた寝かせした状態で穿刺することができます。よって血管を突き破るリスクが軽減されることや神経損傷などの問題が起こりにくいとされています。実際に看護師の友人から翼状針について聞いてみましたが、「細い血管に対してアプローチしやすく、患者さんの反応をみると翼状針の方が採血時の痛みが少ないように思う」とのことでした。

つづく

 
 
 
 
今週の動画
肥育牛で「股裂き」がありました

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