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加地永理奈のコラム
乳頭の異常、副乳頭

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2023年5月17日

先日OPUした母牛が、6つの乳頭を持っていました。乳頭が6つの牛のイラストを見かけることもありますが、牛の本来の乳頭の数は4本なので、2つ余分についていることになります。これを副乳頭といいます。
市場では名簿に明記され、マイナスと捉えられてしまうこともあります。
副乳頭はそれ自体だけでなく、隣接する乳頭も乳房炎を引き起こすリスクがあります。
乳牛では物理的に搾乳の邪魔になったり、泌乳する副乳頭では乳汁が漏れて生産性の低下に繋がったりします。
このため、副乳頭は確認次第除去されることが多いです。方法としては、手術できちんと整形されるか、生後すぐの場合はハサミやカミソリでカットされます。アニマルウェルフェアに考慮して、7日齢以内の除去、それ以降は局所麻酔下での除去が推奨されています。
後ろの乳房での発生が多く、見た目でわかることが多いですが、どちらが正常でどちらが副乳頭か判断しにくいこともあります。そのときは賭けで切除するより放置した方が良いと私は思います!
逆に乳頭が3本しかないという場合、和牛の登録では失格となってしまいます。少ない乳頭では子牛の哺育に影響してしまいますし、乳頭不足の形質が子にも遺伝することがわかっています。和牛としての高い品質を確保するため、このような登録基準が設けられています。

 
 
 
 
今週の動画
哺乳と唾液について考えてみました

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