(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
加地永理奈のコラム
グリセリン給与

コラム一覧に戻る

2023年5月10日

グリセリンを牛でお使いになったことはありますか?
グリセリン(グリセロール)は無色透明のとろっとした液体で、なめると甘みがあります。この500mlの瓶で1000円しないで購入できるみたいです。保湿成分にもなるので、殺菌効果のある硫黄と混ぜて皮膚病の牛に塗ってもらっています。
このグリセリンには、牛に飲ませるとエネルギー補給になる効果もあります。消化されてエネルギー源であるグルコースになってくれるのです。
エネルギー補給として使えるので、高泌乳の乳牛のケトーシス改善、下痢子牛の衰弱改善、ヒートストレス予防など、多くの用途で効果が認められています。
用量は子牛だと哺乳瓶で50~100ml、成牛だと300ml~くらいが目安です。
餌が十分に食べられずエネルギー不足になったとき、通常牛の体内では、体に貯蓄した脂肪が分解され遊離脂肪酸(NEFA)とグリセリンとなり、肝臓でそれぞれグルコースへと変換されます。ただグリセリンからグルコースは素早く変換されるのですが、NEFAからグルコースが作られるまでの過程は長く、途中でケトン体がつくられたり脂肪肝となるリスクもあります。
エネルギー不足となった牛が体脂肪を削って体調が悪化しないように、代わりとして市販のグリセリンを飲ませてしまうことで、素早くグルコースを補給し、回復を早める効果が期待できます。
 
 
 
 
今週の動画
BoviLab use 4 (現場でBoviLabを使ってみよう その4)

|