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笹崎直哉のコラム
牛体吊起について考えてみる その10

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2023年5月9日

私事ですが、5月4日のGWに休みを頂いてダンスイベントに参加してきました。昼は阿久根市の野外イベント(出演機会を2回頂きました)、夜は出水市の室内イベントと多忙なスケジュールでしたが、納得のいくパフォーマンスができました。一方、20代の頃と比較すると明らかに疲労が蓄積しやすくなりましたね。こればかりは日々の食事とトレーニングでカバーしていくしかありません、今後の課題です。

では前回の続きです。
過去、外傷性ダメージが著しい症例に出会ったことがあります。起立欲があるものの、伏臥姿勢のまま全く腰をあげることができないケースでした。眼球がやや落ちていたため脱水していることが分かり、尾力は微弱、皮温冷淡、骨折や脱臼は認められませんでした。筋損傷および脊椎損傷を疑い、同居牛を抜いて隔離をお願いした後、血液検査を実施したのですが

CK(CPK)、AST(GOT)の著増から重度筋損傷、ヘマトクリット値の上昇から脱水所見、γ-GT(γ-GTP)の上昇から肝炎を疑いました。重度の打撲や発情等で他牛に乗駕されたのでしょうか、事故現場をみていないためなんとも言えません。ともかく輸液含む治療を開始しました。飼槽とは別に牛さんの近くに飼料と水場バケツを準備してもらい、手動チェーンブロックとカウハンガーによる吊起および体位変換は朝夕欠かさず行いました。すると初診から1週間経過し、自力起立までできるようになりました。再度血液検査をかけてみると

まだ高値ではありますが、数値に改善がみられました。吊起によって起立のサポート、圧迫部位の痺れの軽減ができ、座らせるときも「ドスン」と勢いよく落ちないようにチェーンブロックでゆっくりじわじわと降ろしていったのも良かったかもしれません。
その後は無事起立も歩様も改善し、元気になっていきました。
 
 
 
 
今週の動画
BoviLab use 4 (現場でBoviLabを使ってみよう その4)

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