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山形の小林正人先生の分析では、白く抜けた部分の脂肪は、正常なサシの脂肪と同じ組成だそうです。ですから、脂肪そのものが悪いわけではないようです。 シコリの発生原因は2通りの考え方が出来ます。1つは脂肪自体は正常でも、蓄積しすぎて筋肉を圧迫変性させてしまったという考え方、もう一つは筋肉の変性が先に起こったという考え方です。 脂肪細胞が異常に蓄積するとすれば、その原因はサシの入りすぎ、ひいては系統的なものが疑われます。実際、間接検定の牛の大半がシコリ(脂肪置換症)だったために共用されなかった種雄牛もいます。そうだとすると、シコリの発生にも系統的な偏りがあるはずですが、現在のところ明確な偏りは観察されていません。 もう一つの筋変性が先行したとする説ですが、脂肪細胞は、本来の組織が壊れて失われたときに、その部分を埋めてくれる役割があります。この働きを「補空肥大」といいます。去勢された陰嚢は、中身の精巣がなくなるわけですから、本当ならペッチャンコになっているはずですが、じきに元のように膨らんでくるでしょう?これも「補空肥大」なのです。 つまり「シコリ」の原因も、本来あるはずの筋肉が変性して消失(筋萎縮)したことにあり、脂肪細胞は、その萎縮した筋肉の部分を埋めるために代償的に増殖したのだという可能性も考えられるのです。それでは筋肉が変性萎縮した原因はいったい何なのでしょう?それが解れば、対策も打つことが出来るのです。
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