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戸田克樹のコラム
第389話「小さいからだにご用心①」

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2023年4月20日

調子が悪い牛を発見する方法のひとつに「同居牛と体型を比べる」というものがあります。

哺乳期は分娩室にて母子同居状態もしくはハッチにて個体管理がなされます。そのため、1頭1頭の状態(ミルクを飲んでいる、エサを食べている、活力がよいなど)を把握しやすいと思われます。しかし、哺乳期が終わり群管理に移行すると、群の頭数にもよりますが、1頭1頭の状態を把握することが少し難しくなります。床に下痢が落ちていても、どの牛が下痢をしているのかすぐには分かりません。エサを食べにきていれば、大丈夫と思ってしまいますので、その後の様子(ほかの牛が食べているのに先に飼槽から離れてしまうことがないか、など)を観察する機会が減ってしまうかもしれません。個体管理と比べて、群管理における観察は少しレベルが高いように思えます。

そこでポイントになるのが体型の比較です。群管理下では同じエサが同じ時間に給与されます。そのため、体の大きさがある程度似通ってきます(もちろんタネによっては抜きんでて発育がよい個体もいます)。調子が悪かったり、群内での順位が低かったりして十分にエサが食べられていない個体は発育が遅れてしまうので、周りの個体に比べて一回り小さく見えてしまうことがあります。逆に言えば、周囲の牛よりも発育が遅れている牛は食い負けているか、何かしら問題を抱えている可能性が高いということになります。つまり「要注意牛」としてマークしなければいけません。

つづく
 
 
 
 
今週の動画
BoviLab use 3 (現場でBoviLabを使ってみよう その3)

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